深まる秋を前に、今年もミシュランの☆を頂きました。
「京都吉兆嵐山本店」に三つ、京都祇園にある「HANA吉兆」に一つ。
前年は、北海道洞爺湖ウインザーホテル内の「あらし山吉兆」に二つ。計六つ。
赤いスプーン&フォークのマークも沢山頂きました。
これも皆さまのご愛顧のおかげです。誠にありがとうございました。
そして、京都吉兆の全スタッフ一人一人が理論的に考える習慣や、改善しながら行動し続ける情熱を持ち続けてきた賜物だと思います。チーム京都吉兆として充実感を凄く感じています。
関西の「ミシュランガイド」も今年で4年目。回を追うごとに、日本料理や日本文化が世界的に大きな存在になってきているように思えます。「京都吉兆」も、海外からのイベント依頼や取材またそれに伴い、お客様もたくさん来て頂いております。
ミシュランの☆を頂けることはとても光栄なことですが、それとともに日本料理や日本文化を伝えることの責任の重さを年々感じております。
ここ数年、世界的な日本料理ブームと言われています。神秘的な見た目、旨味豊かな繊細な味、油脂が少なく健康的で、長寿や健全な美容に繋がることが支持されているのでしょう。
有名フレンチやイタリアンでも、山葵や柚子など、多くの日本食材が使われ、さらに日本料理が注目されているようになったのだとも思います。
また、インターネットがより広く、より深く、より早く浸透させる要因になったのでしょう。
どこの国へ行っても日本料理が食べられる時代もそう遠くはないかもしれません。
ですが、日本料理は、料理の作り方をまねるだけでは、本当の日本料理の良さは伝わらないと私は思います。
日本料理に大切なのは素材であり、出汁や魚や野菜やさまざまな食材が素晴らしいから成立しているのです。それは、農業や漁業に携わる一次産業の方々のクオリティーの高い積み重ねがあってこそのこと。
京丹後の蟹、北海道の雲丹&活け牡丹海老&ホタテ貝&アスパラ、瀬戸内の鯛&鮑&河豚、京都の筍&松茸、山形の米等、各地の青果、魚介類の数々……これらが「京都吉兆」の味を作り、鰹節、昆布等の二次産品も含め、日本の食文化を支えているのです。
日本食文化の基盤は、一次産業にあることを、ミシュランの☆を頂いたものとして伝えていく事は、使命だとつくづく感じています。
想いを持つだけではなく、これからも、日本各地の一次産業が活性化して地域が経済的にもメンタル的にも豊かになる活動を、益々進めて参ります! また、日本の農業、漁業や流通が積み重ねたノウハウを利用して、海外各地で求められるビジネスモデル構築にも協力していきたいと考えています。
これからも食材と真摯に向き合い、一次産業の現場とタッグを組み、「吉兆」の創始者である湯木貞一の「世界の名物、日本料理」の言葉を大切に、料理そのものだけでなく、器に、空間、お客様と気持ちを通い合わせること、すべてが日本文化であることを改めて心にとめ、私そしてスタッフ共々、益々日々精進して参ります。
今後とも、「京都吉兆」の活動を見守って頂ければ幸いです。
日本の食文化のために、より永く必要な存在であり続けて参ります。
京都吉兆 徳岡邦夫