饂飩の原料は小麦、塩水です。
それだけなのですが、湿度や気温によって微調整が必要になってきます。
特に、「国産薄力小麦粉ノンオイル手延べ生饂飩」になると大変微妙だそうです。
実際には、「熊本産70% 北海道産30% グルテン約7、7」を使い、ノンオイルにする為や艶を出す為に、吉野葛を2%混ぜ込み、仕上げてもらう事にしましたが、微妙な調整が難しく、安定して仕上げる事に大変難航しています。
「練り」で鍛えて、「寝かせ」て熟成さす。のですが季節によって、太さを変える必要もあり、改めて、饂飩の奥が深いことを思い知らされています。
湯がく際には、塩分が抜けるのですが、湯がき方、湯がき時間にも工夫が必要になってきます。
金属鍋にて、お湯を沸かし、饂飩を入れると、金属イオンや、饂飩に含まれるNa、Caなどの影響で、水のphが約8ぐらいになるそうです。
アルカリに傾くと、グルコースやグルテン等、多糖類が、溶けてしまうそうです。
饂飩を湯がくには、phは、約6.5ぐらいが、良いようです。
そこで、梅干を入れることにしました。
梅干だけでなく、出汁昆布も加えて、うま味を付け加え、きりっと締まった饂飩を湯がきあげることになります。
5月中には、お客様の目の前で、「国産薄力小麦粉ノンオイル手延べ生饂飩」を湯がいて、お客様の好みの湯で加減で、召し上がっていただけるスタイルを実現さす事が出来そうです。
シンプルな、「目の前湯がき饂飩」、だけでなく、夏に向けて「デラックス冷饂飩」や「冷製パスタ」のような仕上げ方も工夫してみたいと考えています。
パスタと言っても、あくまで、「京都吉兆風」に仕上げます。
乞うご期待下さいませ!!
● 手延べ製法
「手延べ」という食文化は、奈良時代に日本に伝来し、風土の中で自然の恩恵を受け、日本固有の進化をとげ、醸成されてきた意味深い食文化です。またその製法は、麺生地にヨリをかけながら、時間をかけ、序々に延ばしていく、という古来からの手法です。
手延べというのは、麺生地を重ね合わせて「ヨリ」をかけて引っ張るから麺のコシが強くなります。
通常の場合グルテンが多いため、少ない枚数重ね合わせた麺帯でもヨリをかけることでコシの強い麺になります。
しかし、この麺はグルテンが少ない薄力粉を使用しているので、塩・水などの素材に気配る事は勿論、ヨリにかける枚数が他の麺と全然違います。
通常は10層ほどですが、この麺は、麺帯を150層重ねています。
柔らかいのに力強いコシのある麺は、そのちがいが生み出しているのです。
麺帯を150層重ねた物をヨリながら伸ばし仕上げた物を、低温でじっくり熟成させながら、手間ひまをかけて又伸ばしていくことで、小麦粉の塊が麺に変わり、求めるうま味や甘味が引き出されていくのです。
同時に、強いグルテンでは決して真似のできない、上品で力強いコシが生まれるのです。
● 国内産小麦
日本で消費されている小麦粉の約9割は輸入品で、日本国内産は約1割程度といわれ、
国内産小麦は希少価値の高い食材といえます。
もちろん、農薬や添加物の心配もありません。
国内産小麦の特徴は、独特の柔らかさとみずみずしさ、そしてモチモチ感です。
香が良く 味が良い ポストパーベストの無い安心安全な薄力小麦粉を使用しております。
● 薄力粉
通常の生うどんは、中力粉や準強力粉使って作りますが、『花饂飩』は、和菓子を作る時に使う『最上級の薄力粉」を使用しております。薄力粉で作った麺のグルテンは、7.8%しか含まれず、これを低温熟成する事により、小麦粉本来のうま味・甘味の多い麺に仕上がっています。
この麺の特徴は、なんといってもグルテンの少ない薄力粉を使い、小麦本来の甘さ・旨さを引き出すところにあります。
そして、少ないグルテンを有効に形成させ、強いコシを作り出し、かつ細く伸ばすためにどうするか、その技術にこそ、この麺の特徴があるのです。
● ノンオイル製法の特徴 (通常の手延べ麺類は、油を使用してます)
@手延べ独特の油酸化臭がしない。
A小麦粉独特の旨味・甘味を感じる
B体に優しい
C麺を揉み洗いする必要はありません。
D油の酸化を気にしなくて良い。
● 生麺
生麺は、麺類を成形したままの状態で、未加熱・未乾燥のものをいいます。
生麺は水分を多量に含んでいるため、湯がく時、熱湯と麺が含む水分による熱交換が素早く行なわれます。
そのため、澱粉のアルファー化が比較的均等におこなわれ、湯がく過程でできる麺の表面と麺の中心部との水分量の差が少ないのも手伝い、全体的にツルツル感や、もちもち感のある、勿論、力強いコシとのバランスが取れた喉越しの良い食感を作り出しているのです。
勿論、澱粉のアルファー化が比較的均等に行われていると言う事は、澱粉が吸収し出来やすくなるという事です。
澱粉とはブドウ糖が連結して高分子化したもので、アルファ化された澱粉は柔らかく、水になじみ、消化しやすくなるという事です。デンプンは消化されると徐々にブドウ糖になり、ブドウ糖は甘いですよね。料理された穀物のうまみもここから発現されるそうです。
そして、生麺は、出来上がりの風味とうま味をそのまま封じ込めています。