今年度から京都吉兆は、各団体様と食育について協力させて頂いています。その中の一つ京都、大原の地で行われています※1食育ファームも前期日程を終えました。今回は、食育メンバーがその内容について私共の社内報に掲載しましたので、ここでご紹介致します。
※1食育ファーム……今年度から京都吉兆がサポーターとして協力しております、同志社大学大学院 総合政策科学研究科の実施する食育プログラム「食育ファームin大原」の略称
皆さんの中には「食育」って何?とか、どのような活動をしているのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。そこで「京都吉兆の食育」について少し深くお話いたします。
まず「食育」とは、「食」に関する多岐に渡った分野についての「教育」のことです。(例えば、農作業、味覚体感、調理体験、しつけ等)
国民が健全で豊かな食生活を送るための能力を育てるという目的下、生きる力を身につけるため「知育」「徳育」「体育」の基礎となる「食育」の重要性が着目され、2005年に「食育基本法」という法律が制定されました。国を挙げて家庭、学校、保育所、地域、企業など様々な機関で、食育の推進に取り組んでいます。
徳岡邦夫は社会全体が日本人の食に危機感や不安感を抱き始めた1990年ごろから、いち早く食育の重要性を感じ、個人として活動を行っております。
「京都吉兆の食育」とは、吉兆創業八十周年プロジェクトをきっかけに、京都吉兆全体で動き出した活動でございます。
「命の大切さを知り、共に生きる力を養う」という目的を定め、更にその中に
1、食べ物が「商品(物)」ではなく「生き物(いのち)」であることを知る
2、食事が当たり前に出来ることに感謝し、「食べ物」、「生産者」、「料理を作ってくれた人(母親や祖母など)」に感謝を込めて「いただきます」「ごちそうさま」が自然に言える
3、生きるための基本である「食」に対する意識向上でよりよい(質の高い)生き方を身につける
4、食べて寝るだけで、生き続けられるのか?ということについて考える
という4点に重点を置き、食育参加者に生きるために必要な「食」について意識していただくことで、共に生きる力を養うという活動を行っています。(家庭が食育において最も重要な役割を持っていることから、原則親子での参加をしていただいています)
食育ファームは、子どもたちが農作業、調理体験といった五感を使った体験をすることで、豊かな人間形成を育むのではないかという仮説のもと、山里の趣が感じられる京都、大原の地で行われています。
子どもの頃から食に興味をもたせ、味覚を育て、食を選ぶ力を身につける。家族で農作業や調理体験を行い、いのちと食の結びつきや、食を通じたコミュニケーションの重要性を学ぶことを目的としています。
「子どもたちがワクワクするような食の楽しさを伝えたい!」という学生さんの思いに共感し、わたしたち京都吉兆もサポーターという形で参加いたしました。
5月に種をまき、苗植えをしてから3ヶ月間、野菜の成長を子どもたちと共に体感してきました。6月末からズッキーニの収穫が始まりその後はキュウリ、ナス、万願寺、トマトと色々な野菜を収穫しました。お昼御飯にはその野菜を用いて料理を作り、皆で美味しく頂きました。この食育ファームでの種まきから収穫といった農作業や、調理体験によって、子どもたちは多くのことを学び感じとり、少したくましくなったように感じました。(後期は9月11日から始まります。)食育ファームに参加させて頂きながら、食育メンバー(長谷、牧村、山道、小宮山、長瀬)で日々京都吉兆の食育の在り方を考え続けています。
その中で7月19日には、新しい動きとして嵯峨幼稚園様にて「幼稚園児」を対象とした食育を行いました。当日は幼稚園のプールをお借りして10匹の鰻を泳がせ、子どもたちには水着でプールに入りつかみ取りをしてもらいました。その後、目の前で鰻をさばき、炭火で焼き、どんぶりとして食べてもらいました。「食べること」が「命をいただいて生きていること」であると園児に伝わるには時間がかかると思いますが、手応えを感じる食育活動となりました。