2014年10月22日

ミシュランガイド関西2015

和食は日本の文化


嵐山にも紅葉がちらほら、空気の澄んだ秋晴れの日、

今年もミシュランの星を頂きました。

ありがとうございます。


嵐山本店に三つ、HANA吉兆に一つ。

そして、2012年には北海道洞爺湖店が二つ。

益々、その責任を重く感じ入っています!


ここ数年、海外のお客様にも味だけでなく、

器や盛り付け、空間等も楽しんで頂いていると実感します。

日本料理を、文化として理解してくださっていることがよくわかります。


日本人は、自然界と人間界を区別することなく、

自然の一部として生き、自然の怖さや寛容さを知り、

自然を用いて自分を表現する習慣があり、

黙って耐えて諦めず、ゆずりあう心があります。

それが日本人の気質だと思います。


日本のアニメが世界中で人気なのは、

画像技術の素晴らしさや色彩の素敵さと共に、

物語の中に日本人の気質が描かれているからだと思います。

それは、料理も同じではないでしょうか。


よく「日本料理の定義は何ですか?」と聞かれます。

その時私は、自然を用いて自分の気持ちを日本的な感覚で表現し、

相手を思って作る料理だと答えます。

自然と共に生きているから旬のものを頂くのです。とーー。


日本料理は、まさしく文化なのです。

だから和食が世界無形文化遺産に登録されたのでしょう。


改めて日本国内の和食を見渡してみると、

(皮肉なことですが)遺産と言う言葉のとおり、

危機的な状況にあります。


日本には、和食という世界に誇る素晴らしい文化がある。

そのことを日本料理の料理人として、もっと広く、

わかりやすく伝えていかなければいけないと痛感しています。


また、日本人の気質の源は、自然と対話しながら、

大地、海、川の恵みを獲る=一次産業の人たちにあるとも思います。


地球に生きるひとりの日本人として、

日本の一次産業を、世界の為に必要とされる存在にするべきです。

そのための努力を私は惜しみません。


これからも日本文化を伝承する京都吉兆として、

料理人として精進して参りたいと思います。

今後ともよろしくお願い致します。

posted by 徳岡邦夫 at 10:46| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする