先日、うま味インフォメーションセンターさん主催の、うま味サミット in ロンドンに招聘されました。
簡単にではございますが、イベントの概要を掲載させて頂きます。
また、サミットに参加された方からのメールもご紹介させて頂きます。
うま味サミット in ロンドン
【日時】 2009年3月7日(土)
【場所】 LG Lecture room, Waterstone's Picadilly
【献立】 ピュア リゾット
【プログラム】
13:00 基調講演 日本料理におけるだしとうま味について
14:10 イギリスの素材とうま味によるヘルシー料理の提案(調理デモ)
15:40 参加者による試食
16:00 休憩
16:20 パネルディスカッション
18:00 書籍サイン会
終了
【主催】 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター
【対象】 メディア関係者、シェフ・料理関係者など
【趣旨】
1908年に池田菊苗博士により、昆布出汁の味を担っているのがグルタミン酸である事が発見され、甘味、酸味、塩味、苦味に続く醍醐の基本味として「うま味」と名付けられた。
この発見は日本の食文化の発展に多大な影響を与えてきた。
海外では根強い日本食ブームの中で、世界のトップシェフ、ジャーナリストなどが、近年うま味に多大な関心を寄せている。
うま味インフォメーションセンターでは、うま味発見100年にあたる2008年にうま味サミットをサンフランシスコ・ニューヨーク、そして京都で開催したが、その一環として、ロンドンでうま味サミットを開催し、日本料理の根底にある「だし・うま味」を体験、理解してもらうと同時に、ロンドンの食材とうま味を生かしたヘルシーな料理提案を通じて、イギリスでの新しいうま味文化発展の契機とする。
また、本イベントでは英国で出版された書籍「DASHI&UMAMI、The Heart of Japanese
Cuisine」(Cross Media社)の出版記念を兼ねる。
【徳岡邦夫の料理コンセプト】
「うま味、香り、食感」がテーマです。
美味しさと言うのは、舌だけで感じているわけではありません。
口の中や鼻にあるセンサーを通じて、主に脳の「大脳皮質」という部分で感じているわけです。
センサーである舌には、いろいろな味を化学的に感知する受容体(レセプター)があります。
甘み、酸味、塩味、苦み、うま味という五つの味が、レセプターで感知されます。
そのレセプターの種類ですが、うま味を感知するレセプターは、1種類だそうです。
甘みに反応するレセプターも、1種類。
苦味に反応するレセプターは、約50種類。
舌は、さほど多種多様な味を区別できるようには出来ていないのです。
それに対して、鼻の中の細胞にあるにおいのレセプターは、現時点で約380種あると言われています。
更に口の中でも、舌触りや食感(テクスチャー)と呼ばれるものは、物理的な刺激で、味覚ではなく触覚による美味しさです。
指先の感覚と同様に非常に繊細な違いを区別することができます。
もちろん、視覚や聴覚も美味しさを引き起こします。
美味しさは生物としての人間が持つ「五感」すべてを使って、感じるものだと言えます。
人間の体は、そのように出来ているという事です。
今回は、その中でもより繊細な「分解能」を持っていると思われる感覚に焦点を当てて、料理を考えてみました。
うま味より苦味、味より香り、そしてそれ以上に食感を味わって頂く料理です。
【イベント参加者からの感想】
イギリスで一番格式のあるシェフの奨学システムを運営するルースコラシップの方からのメッセージです。
興味深い一日をありがとうございました。
とても魅了されました。
今回出席した4人の奨学生たちも本質がかいま見れた様です。
今朝メールが入ったのでお知らせします。
「うま味サミットへの招待をアレンジしてくれてありがとう。
とてもすばらしい時間を過ごせ、そしてたくさん吸収できました。
イベントの後にジャパンセンター(会場近くの日本食材店)で、昆布、鰹節、干ししいたけをたくさん買ってきました。
今からそれらを使って、色々試して、自分の料理の中でうま味を増やす事を楽しみにしています。
僕はずっと自分の料理の中でうま味と味を高める事を考えてきました。
その方法をうま味を本当に知っている料理人の方々から直接聞けたことを誇りに思いました。
そして昆布の使い方にはとても開眼させられました。」